高畠華宵生誕120年
「華宵のこども絵展」
〜ファンタジー世界のこどもたち〜
2008年
4月5日(土)〜6月30日(月)

::企 画 趣 旨::

 本年は高畠華宵(愛媛県宇和島市出身/1888-1966)の生誕120年にあたります。それを記念して、高畠華宵大正ロマン館ではこれまでほとんど注目をされていなかった作品群、華宵が描いた「こども絵」にスポットをあてた展覧会を開催します。

 華宵が描いた「こども絵」としてこれまでも何度か展覧会等で取り上げられているのは、戦後の講談社絵本シリーズ(『小公女』『しあわせの王子』『星の子』『雪の女王』『ヘンゼルとグレーテル』など)で、大正ロマン館には極彩色の原画が残されています。しかしほとんど知られていないのが、大正11年から12年というごく短期間に『金の船』という児童向け雑誌に描いた「こども絵」です。これらは華宵のロマンチックな美少女とも、両性具有的な美少年とも、華麗な女性とも趣が異なる作品群です。

 大正7年に児童向け雑誌『赤い鳥』が発刊されますが、これが日本における児童文学の先駆けとされ、同時代の様々な作家や著名な文人が詩や物語を提供していました。この『赤い鳥』が大正時代やそれ以後の児童文化に大きな影響を与えたことはよく知られていますが、華宵が描いた『金の船』という雑誌もまた『赤い鳥』と同時期に発行され、数多くの著名な文士(野口雨情、室生犀星、正宗白鳥など)が子ども向けの童話、童謡を書いた雑誌です。この『金の船』誌上で、華宵は表紙・口絵・挿絵などを描き、時には一冊すべてが華宵の作品で埋め尽くされたこともありました。しかし残念なことに、この『金の船』(華宵が挿絵を描いていた時期のもの)は現存する部数が極めて少なく、全国の図書館・博物館・文学館などにもほとんど収蔵されていません。

 今回の展覧会では、華宵が描いた珍しい「こども絵」の数々を展示して、その特徴や世界観を紹介すると共に、大正時代の児童雑誌『金の船』を徹底解剖します。また戦後の児童向け絵本原画も展示し、会期中には「大人のための読みきかせ」イベントを複数回開催します。

 華宵が描いた「こども」たちは、愛くるしさや無邪気さだけではなく、時に幼児特有の不気味さや不可思議さを感じさせるものもあります。それは単に華宵の画風上の個性というものにとどまらず、ある種の普遍的なこども観へとつながっているようにも思われます。

 この展覧会が、華宵の「こども絵」を観賞する機会になるとともに、改めて「こども」について考えるきっかけになれば幸いです。


::展 示 内 容::

<第1展示室>
  華宵のこども絵とファンタジー
  こどもの世界観では日常とファンタジー世界との境界はありません。こどもたちは自らの自由な発想と想像力によって、物語やおとぎ話の世界を軽やかに歩き回ります。ファンタジーの世界にタブーはなく、それゆえ一般的なこども向けの絵本や童話(画)には、妖精や小人が登場し、こどもたちも動物や花に変身するなど、自由奔放な発想に支えられたファンタジー世界が取り上げられています。
 ところで華宵のこども絵の特徴とはなんでしょうか?華宵のこども絵には、いわゆる「華宵好み」の美少年美少女とは異なる、こども絵独特の個性があります。愛くるしいポーズやルックスの華宵作品のこともたちは、よく見ればただ可愛らしいというよりも、こどもの属性の別の側面、つまり不気味さや不可思議さが感じられます。
 この展示室では、華宵のこども絵を徹底解剖します。華宵の他ジャンル作品との比較や、同時代のこども感を考察しながら(宮沢賢治の童話やルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」など)、そこに華宵のこども絵の特質を探り当てます。

<第2展示室>  戦後のこども絵
 華宵が昭和20-30年代に描いたこども向けの絵本原画(『小公女』『しあわせの王子』『星の子』)などを展示します。また華宵が挿絵や装幀を手がけた絵本や児童書を展示し、戦後のこども絵の多彩な魅力を紹介します。



<第3展示室>
  幻の『金の船』の部屋

 『金の船』は大正期の華宵が執筆した数少ない児童雑誌です。『金の船』は大正8年に創刊され、野口雨情や島崎藤村、与謝野晶子、志賀直哉、三木露風などの多彩な作家が童話や童謡を執筆していました。しかし編集内部の不協和から、大正11年4月で終了、その後『金の星』(金の船社)と『金の船』(越山堂)の二つの雑誌に分かれました。華宵が表紙絵や挿絵を描いたのは、後者の越山堂から発行された『金の船』です。
 この越山堂版『金の船』は現存する部数が極めて少ないと考えられます。大正期は『赤い鳥』に代表されるように、児童文学雑誌が次々と発行され、今日までも残る名作童話や童謡が発表されました。こうした流れの中で、越山堂の『金の船』は、華宵が表紙絵や挿絵を多数執筆した(大正11-13年頃)ということに加え、残存部数の少なさからも非常に貴重な資料です。
 この展示室では、華宵が表紙絵を描いていた時期(大正11-13年頃)の『金の船』やその内容の複製を展示し、『金の船』の世界を紹介します。日本近代文学館のご協力により、当館で『金の船』を初展示いたします。

<エントランスホール>
*お伽劇団と華宵
華宵が明治末期に所属していた児童演劇団「お伽劇団」(久留島武彦主宰)を紹介します。
*世界のこどもたち 〜KIDS IN ART〜
世界のアートに登場したさまざまなファンタジー世界のこどもたちを紹介します。


展覧会名 「華宵のこども絵展」 〜ファンタジー世界のこどもたち〜
会  場 高畠華宵大正ロマン館
会  期 2008年4月5日(土)〜6月30日(月)
休館日

水・木曜日

入館料 一般(中学生以上500円/小学生300円
身体障害者手帳をお持ちの方 400円
団体(20名以上)400円/「華宵会」会員無料
主  催 高畠華宵大正ロマン館
共  催 華宵会
協  力 財団法人 日本近代文学館
後  援 愛媛県・東温市教育委員会・愛媛新聞社

<会期中のイベント>
大人のための読み聞かせ
〜原画と朗読で楽しむ「しあわせの王子」〜

(日時) 4月20日(日)/5月4日(日)/6月1日(日) 
いずれも午後2時〜
(内容) <ミニレクチャー>オスカー・ワイルドについて(当館学芸員)
<朗読>「しあわせの王子」ほか (おはなしウーフ)
(会場) 高畠華宵大正ロマン館第2展示室
(聴講料) 無料/但し入館料が必要です。
(定員) 各回20名/予約優先

(展覧会詳細、休館日等についてはお問合せ下さい)

高 畠 華 宵 大 正 ロ マ ン 館
791-0222 愛媛県東温市下林
 ■TEL 089-964-7077 ■FAX 089-964-7222 
museum@kasho.org